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11月, 2019の投稿を表示しています

データによるテニスの進化

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テニスのIT化は思ったよりも進んでいる ここ数年、いろんなスポーツにITが活用されていることは周知のとおりで、殊更ここで取り上げるつもりはありませんが、技術力・競技力のさらなる向上には、もはやITなくしては実現できないとさえ思えます。 テニスにおけるIT化で一番に思い浮かべるのは、グランドスラムなどでよく見かける「チャレンジシステム」で採用されている「ホークアイ」ではないでしょうか。我々が目にするのは、この「ホークアイ」を使って、審判のイン・アウトの判定に不服がある場合に、高精度カメラが捉えたボールの軌道からその真偽を確認するというものです。しかしながら、「ホークアイ」でとらえることができるのはボールのイン・アウトだけではありません。ボールの軌道、着地点もさることながら、ボールの回転、選手の動きやヒッティングポイントなどがデータ化され、これらを組み合わせることで、例えば錦織が1stセットのキープキープが続いたシチュエーションのサービスゲーム30-30であれば、バックに打つと80%の確率でクロスに返球する(注:この数値は私が適当に書いたものです)といったことがデータに基づいてわかるようになるのです。 ホークアイの裏側 「ホークアイ」では、コートの周辺に10台の高精度カメラが配置されます。このカメラで撮影されたデータはコントロールルームに集約され、数人のエンジニアがそれをチェックし、選手からのリクエストに応じてどのショットのどの部分を再現したいかを選択し、画面に表示します。 判定に誤りがあってはいけませんので、この「ホークアイ」を提供するイギリスの会社、Hawk-Eye Innovations Ltd. は大会の数日前から大量の機材とエンジニアを派遣し、チューニングに余念がないといいます。 当然、大会最終日までエンジニアは常駐するわけで、機材と人のコストを考えても、おいそれとどんな大会でも採用するわけにはいかなさそうです(当然、物理的にカメラが設置できなければそれまでですし)。 私も知らなかったのですが、この「ホークアイ」が最初に採用されたのは2006年らしく、すでに13年の歴史があるわけです。つまり、13年分のデータがすでにこの「ホークアイ」には保存されているということですね。 当然、これら13年分のデータを何もしていないわけがあ

デ杯のススメ

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新しいフォーマット 今年からフォーマットが新しくなったデビスカップ(デ杯)。だいぶ大きく変わりました。細かくは割愛しますが、ざっくり言うと、これまではホームもしくはアウェイで、5セットマッチで、5ポイント(シングルス4ポイント、ダブルス1ポイント)勝負でしたが、新しいフォーマットでは、18か国が1か所(2019年、2020年度はスペインのマドリード)に集まり、3セットマッチで、3ポイント(シングルス2ポイント、ダブルス1ポイント)での勝負になりました。 これは選手からも観客からも賛否両論ありまして、一番はホーム&アウェイでなくなったことですかね。やっぱり日本代表はライブで応援したいし、日本で試合を観たいという声は多かったと思います。まぁ、どんな決断も100点満点は取れないし、これまでのATPツアーの過密スケジュールを考えると、いい面もたくさんあると思っていて私は前向きにとらえています。 デ杯を観に行きたい! 私はWOWOWで見ていました。自宅にいなくてもスマホやタブレットのアプリ「WOWOWメンバーズオンデマンド」を使えば外出先でも試合を観ることができました。高校の後輩と飲んでいるときも、同窓の岩渕が監督としてがんばっているのでみんなで応援することができました。結果はラウンドロビンでフランスとセルビアに惜しくも敗れ準々決勝進出は果たせませんでしたが、フランス戦で西岡がATP10位のモンフィスにストレート勝ちしたり、ダブルスでは先日のATP Finalsで優勝したエルベール・マウ―組に対して内山・マクラクラン組があと一歩のところまで追いつめたりと、見どころが満載でした。 この時はこれでも十分に試合を楽しめると思っていましたが、ある時、「来年は現地で見たい」と思うようになりました。 なぜかと言うと、ラウンドロビン終了のタイミングで西岡選手が自身のYOUTUBEチャンネル「Yoshi'sチャンネル」( https://www.youtube.com/channel/UCyGxHSHAJSukCPrhufLzITg )にデビスカップの舞台裏ということでいくつかの動画をアップしていてそれを観たからです。 動画の中の選手の素顔を見ると、やはりコート上とは違う表情が見れたり、選手のことが違った角度から見ることができ、もっと知りたいし応

Nitto ATP Finalsの感想

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Nitto ATP Finals、チチパス優勝! ロンドンで開催されました「Nitto ATP Finals」、チチパスの初優勝で幕を閉じました。 私はまだダイジェストでしか試合を観ていませんので、これからじっくりWOWOWメンバーズオンデマンドで試合を観たいと思います。 今日は、スコアやスタッツからみて感じたことを書きたいと思います。 まず最初にお断りしておきますが、上述の通りまだ試合をじっくり観たわけではありませんので、この記事の内容は薄いですし、表面的になっています。もし、「全然的が外れてるよ」というご意見があれば是非コメントをいただきたいのですが、全体的には温かい目で見ていただければと思います。 予選ラウンドロビン「グループ:アンドレ・アガシ」では、生ける伝説ナダル、今年後半6大会連続決勝進出を果たしたメドベージェフ、昨年度本大会優勝のズベレフという顔ぶれの中、抜きんでたのはチチパスでした。 得セット5、失セット2で得セット率71.4%はグループ内でも他を圧倒。スコアをみてもズベレフに圧勝、メドベージェフにも接戦ながらストレート勝利、ナダルには負けはしたもののどのセットも僅差でした。最終的にチチパスが優勝できたのも、ナダルをここまで追い詰めることができ、それが自信につながったからかもしれません。全体的にナダルのUnforced Errorが少し多かった気がしますが、これもナダルがリスクを負ってでも自ら仕掛けないとチチパスに勝てないと思わせたからだと思います。 それにしても、今シーズン好調だったメドベージェフが1度も勝ち星を挙げられなかったのは意外でした。それほどレベルが高いってことですね。ナダルとの対戦でファイナルセット5-1から挽回されてしまったのはきっと悔しかったはずです。 「グループ:ビョルン・ボルグ」では、ティエムとフェデラーが2勝1敗同士で準決勝に駒を進めました。得セット率でみると、フェデラーが66.7%、ティエムが57.1%なのですが、直接対決でティエムが勝っているので予選1位となりました。 やはりフェデラー、ジョコビッチを立て続けに破ったティエムの実力は本物でしたね。個人的に、ティエムのバックハンドが好きです。フォロースルーがダイナミックで、全身のパワーをボー

テニスの極意について

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テニスの極意 少々仰々しいタイトルで始まりましたが、みなさんは「テニスの極意」ってどういうことだと思いますか?私は、極めて当たり前でなんのひねりもない答えなのですが、「打点」だと考えています。 正しい「打点」でボールを捉えることができたら、ミスショットの数を限りなくゼロに近づけることができますし、コントロールも格段に向上します。逆説的な言い方をしますと、きちんとフォロースルーがとれていて、ミスが少なく、思い通りにボールをコントロールできているときは、正しい「打点」でボールを打てているときだということです。 ここでは、正しい「打点」でボールを捉えられている状態を、ラケットの真ん中、つまり「Sweet Spot」でボールが捉えられていると定義します。では、このブログをご覧いただいている皆さんの中で、どれくらいの方が「自分はSweet Spotで打てている」と感じていらっしゃいますでしょうか?もっと言うと、ボールを打った瞬間にラケットのどの位置に当たったかを意識している方はどのくらいいらっしゃいますでしょうか? このあたりの意識が変われば、きっとテニスの質も変化するのではないでしょうか。そこで、以前にBabolatさんにご提供いただいたセンサー内蔵ラケット「Babolat Play PureDrive」を使ったときのデータをもとに考察していきたいと考えています。 Babolat Playについて Babolat Playとは、センサーが内蔵されたBabolatのラケットを使ってプレーすることで、プレー全体の中でどのショット(フォアとかバックとか)を使ったかとか、ラケットのどの部分でボールを捉えたかなど、プレーの質をデータとして計測できるツールです。 このセンサー内蔵のラケットをBabolatさんからご提供いただき、しばらく使ってみましたので、具体的にどんなデータが取得できて、どんな効果があるか書いてみたいと思います。 Babolat Playで計測できるデータ まず、プレーした総時間が計測でき、そのなかで何球くらいボールを打ったかのショット数が計測できます。そのうち、フォア、バック、ボレー、サーブ、スマッシュがそれぞれ何%占めていたかを円グラフで表示することができます。 その打球について、ラケットのどの部分でヒットしたか

気になる記事。。。

・「今やテニスはAI(人工知能)で勝ちにいく時代。プロ選手も駆使する最新テクノロジーの役割」という記事 先日、ネットのニュースで気になる記事をみつけました。 https://thedigestweb.com/tennis/detail/id=3092 詳細はリンク先をご覧いただければと思いますが、IBMがAIを駆使して選手が「1ポイントを取るために、どれだけの体力を消費し、身体に負荷をかけているか」を計測してコーチや選手にフィードバックする「コーチ・アドバーザー」というサービスを提供しているそうです。  これは、USTAの“プレーヤー育成プログラム”傘下の選手なら誰でも利用できるようなのですが、是非とも日本人を含むいろんな選手がこのような新しい取り組みに参加できるよういしてもらいたいものです。

ディズニーにおける集客力について

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土曜日、家族でディズニーランド(以下、ランド)に行ってきました。天気もよく、暑くも寒くもなくちょうどよい気温だったせいもあって多くの客でにぎわってしました。私が経験した中でも混雑していた方だと思います。今回は、直接的なテニスのトピックスではありませんが、土曜日のディズニーで感じたことを記事にしたいと思います。 ご存知の方も多いと思いますが、ここ数年ディズニーランド・ディズニーシー(以下、シー)では新アトラクションの建設が進んでいます。7月にシーにオープンした「ソアリン」を皮切りに、2020年4月にはランドに「ベイマックス」や「美女と野獣」をテーマとしたアトラクションが、2022年にはシーに「ファンタジースプリングス」というテーマポートが建設中です。ゲストを飽きさせずにリピート客の増加を狙っているのだと思います。 ディズニーファンにとっては楽しみなことですね。 これに合わせてか、ランドの象徴である「シンデレラ城」も半年間の工事に入ったようでしたので写真をアップしておきます。ずいぶん大掛かりな感じですね。 こういった新たなアトラクションの建設や工事には、当然膨大なコストがかかります。それはどこに反映されるかというと、入場料の値上げというカタチで我々に降りかかってきます。過去の入場料(ワンデーパス)の推移をみますと、 1983年:3,900円(ランド開業) 1992年:4,800円 2001年:5,500円(シー開業) 2011年:6,200円 2019年:7,500円 この36年で倍近い金額になっていて、上記以外のタイミングも併せると実に12回も値上げされているのです。 ここまで強気に値上げされると当然客足も鈍るのではと思ってしまいますが、オリエンタルランドが発表しているランドとシーの年間の来場数をみると、 1983年:990万人 1992年:1,580万人 2001年:2,205万人 2011年:2,535万人 2018年:3,256万人 と、基本的に右肩上がりで数字が伸びています。そりゃ強気な価格設定にもなるわなと思いました。 いやぁ、、、すごい。 もちろん、ディズニーの魅力はアトラクションが新しくなることだけではありません。そういう「ハード」の部分よりも、むしろ「ソフト」の方が重要だったりもします。私がランドやシ

Next Gen ATP Finalsについて

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11月5日~9日、イタリアのミラノで21歳以下のトップ選手8名で争うNext Gen ATP Finalsが開催中です。 2017年から始まったこの大会は今年で3回目。現在の世界のテニスではBIG3と呼ばれるフェデラー、ナダル、ジョコビッチが君臨していて若手の壁となっていますが、この大会にはそのBIG3は出場しません。若手にクローズアップした大会となっています。 この大会が面白いのは、出場者を21歳以下に限定しただけでなく、これまでにない新しい取り組みを多く取り入れているところにあります。 まず試合のフォーマットですが、4人ずつの2グループに分けてリーグ戦を行い、各グループ上位2名によるトーナメントが行われるという点では11月10日からロンドンで開催されるNitto ATP Finalsと同様なのですが、Next Genでは4ゲーム先取の5セットマッチ、3-3でタイブレーク、ノーアドバンテージというゲーム形式が採用されています。 ポイントとポイント間の時間を厳密にするために25秒カウントダウンする時計(ショットクロック)を設置したり、タオルはボールパーソンではなくコート後ろにあるタオル用のラックに選手自身が取りに行く必要があったり、線審の代わりにホークアイ(グランドスラムなどではチャレンジの場合にのみ使われるセンサーシステム)がインかアウトの判断をしたりと人の省力化やクイックな試合展開を目的としたものが採用されています。 さらにはセットとセットの間には、ヘッドホンを使ってコーチと通信しオンコートコーチングを受けたり、タブレット端末でスタッツを確認することもできます。また、ウェアラブルセンサーを身に着けた状態でプレーすることが可能で試合終了後にセンサーデータを確認し次の戦略に活かすこともできるようになっています。 私が注目したいのは、このような新しい取り組みもさることながら、この大会については観客はプレー中であっても席にじっと座っている必要はなく、ベースライン後方以外であればプレー中も自由に移動することができるようになっていることです。これは選手から不評な面もあるのですが、ファン目線で考えたらテニス観戦の自由度が格段に向上するアイデアだと思っています。 通常だとどうしても大人しくじっと観戦するしかなく、他のスポーツに比べてdisadva

全日本選手権の決勝を観戦しました。

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先日、全日本選手権の男子シングルス決勝を観戦してきました。 数年前から冠スポンサーが「三菱」となり、当社(三菱商事)もスポンサーに加わっておりまして、その関係で大会最終日のテニスクリニックのお手伝いとして有明に行ったので、せっかくなので決勝戦を観戦することにしました。 決勝は三菱電機所属の清水悠太選手と明治安田生命所属の野口莉央選手というお互い所属が三菱グループ同志の対決は、6−3、6−4で野口選手の優勝となりました。 序盤から激しいストローク戦が繰り広げられましたが、単複混合の3種目で決勝進出を果たした清水選手は疲労と足を痛めていたことが影響してか、野口選手に押し切られた形となりました。 今回の記事では試合の内容はさておき、少し気になったところについて書きたいと思います。それは、前回の投稿でも書きましたが、国内最高峰の大会の決勝戦であるにもかかわらず、1万人ほどの観客が収容できる有明コロシアムの観客席が半分くらいしか埋まっていないという状況です。試合後、高校の同級生でデビスカップ日本代表監督の岩渕と話をしましたが、彼曰く比較的観客が入っているほうだと思うとのこと。う〜ん、、、。もう少しなんとかならんかなぁ。 全体的な感想としては、まず野球やサッカー、ラグビーのような雰囲気ではないこと。テニスというスポーツの特性上、プレー中は動けないしポイントとポイントの間でしか声も出せない。ちょっと窮屈な感じですよね。野球だったらビールの売り子さんが来てくれて酔っぱらいながら観戦するのが当たり前。テニスだとビールを飲んで観戦している人はかなり少なかったです。なので、ビールを飲みながら観戦してみました。ちなみに後ろに写っているのは慶應義塾大学テニス部の原コーチです。笑 個人的にはあと2~3杯飲みたかったところですが、チェンジコートのタイミングでしかビールを買いに行けないので1杯で我慢しました。。。 またテニスに観客が集まらない理由の一つに、選手の知名度という問題があると思います。残念ながら有明スタジアムを埋め尽くすほどの観客を呼べるのは、錦織や大坂なおみくらいしかいないのが実情です。少なくとも選手の顔と名前、プレースタイル、ちょっとしたバックグラウンドを知っている状態で試合を観るのとそうでないのとでは面白さが全く違うと思います。そこで、iPadを使って

Tennis Fanaticsスタート!

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Tennis Fanaticsをスタートしました! はじめまして。古村賢紀と申します。 先日、全日本選手権の男子シングルス決勝を観戦しました。詳細は別の投稿で書こうと思いますが、国内最高峰の大会の決勝戦であるにもかかわらず、収容人数約1万人の有明コロシアムが半分程度しか埋まらない状況でした。 日本のテニス人口は400万人ほどと言われていますが、「観るスポーツ」としてのテニスは、まだまだ定着していないと実感しました。 私は40年ほどテニスを続けています。学生時代はユニバーシアードの日本代表に選んでいただいたり、ジャパンオープンの主催者推薦枠で本戦に出場させていただいたり、国内外のトーナメントにも多く出場した経験があります。社会人になってからも実業団に出場したり、テニスクリニックなどを通じて多くのテニスファンの皆様と交流させていただきました。その経験からも、やっぱり自分はテニスが好きだし、もっともっとテニスの楽しさをいろんな人に知ってもらいたいと思っています。一方、上述のように野球やサッカー、先日のラグビーワールドカップのように何万人もの観客が集まるスポーツとは程遠い現状について、やはり悲しいというか、テニスが持っているポテンシャルはまだまだこんなもんじゃないと強く信じています。 ここ最近、テニスを盛り上げようといろんな方がいろんな活動を実施されています。多くの選手がブログやSNSで日々の活動状況をファンの方に報告したり、日本テニス協会が中心となってPLAY & STAY活動を通じて幼少期から体に負担なくテニスが楽しめる環境整備にご尽力されていたり、昨年12月に設立された全日本男子プロテニス選手会ではプロ選手とファンの方が気軽に交流できるイベントを開催していたりというのもその一環かと思います。 私は普通のサラリーマンなので、テニス界にはなにもコミットしていませんし、言い方を変えれば無責任な立場です。その分、自由度の高い発信ができるのではと考えています。そこで、狂信的(Fanatic)にテニスを愛する私、古村がいろんな角度からテニスというスポーツの魅力を言語化し、情報発信する場として「Tennis Fanatics」をスタートしました。 「Tennis Fanatics」の目的は、広義の意味では「日本のテニスを盛り上げる」ということを

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